交通政策基本計画 ⑤
基本的方針A.豊かな国民生活に資する使いやすい交通の実現
全国的な少子高齢化、三大都市圏(とりわけ東京圏)への人口流入、クルマ社会の進展等の中で、地域の生活の足の確保2が大きな課題となっている。
このような中で、地域にとって最適な公共交通ネットワークの実現を強力に推進するためには、自治体が中心となって、土地利用などの都市計画等と連携し、「小さな拠点」、コンパクトシティ、「連携中枢都市圏」等の形成にも資するよう、交通ネットワークの再構築を図ることが不可欠である。
また、LRTや BRTなど、従来よりも利便性が高い交通手段がまちづくりの一環などとして導入されつつある一方、人口減少を背景として民間事業者によるバス路線の運行が困難となっている地域においては、持続可能な交通手段として、コミュニティバス5や、デマンド交通など、各地域の実情に合わせた新たな交通サービス形態の導入も増加しているところである。さらに、環境にやさしく健康増進にも資する自転車が交通手段として見直されつつある。
以上のような様々な交通手段を最大限に活用して、利用者のニーズに応えるため、個々の地域の実情に応じ、これらの交通手段を導入しやすい環境の整備を行うことが必要である。さらに、2020 年の東京オリンピック・パラリンピックの開催や我が国が超高齢化社会を迎えることを考えると、「どこでも、だれでも、自由に、使いやすく」というユニバーサルデザインの考え方を踏まえながら、すべての人が社会活動に参画できる社会を目指して、身近で利用しやすい交通手段の確保や交通バリアフリーの充実に向けた取組を進めることが求められている。
このほか、我が国は定時性の確保、混雑緩和、相互直通運転の拡大をはじめとした乗継ぎ利便性の改善や、IC カードの普及などの ICT 技術の積極的導入など、様々な取組を通じて、交通サービスの「質」については世界でもトップレベルの水準にある。今後は、さらに高度化していくべきであり、バリアフリーの取組とも併せ、モード間の連携を促進し、「滑らかに移動できる」シームレスな交通体系を実現する。
以上を通じ、「守り」のみならず「攻め」として、豊かな国民生活に資する交通政策を追求し、「まち・ひと・しごと創生総合戦略」及び「地方版総合戦略」とも連携を図りながら、個性あふれる地方の創生を推進することが必要である。