貨物軽自動車運送事業について

貨物軽自動車運送事業とは、他人の需要に応じ、有償で、三輪以上の軽自動車及び二輪の自動車を利用して貨物を運送する事業です。輸送能力や事業規模も小さいことが想定されているため、一般貨物自動車運送と比較すると、輸送の安全を確保するのに最低限必要な規制となっている点が相違点といえます。
1.事業への新規参入
 貨物軽自動車運送事業を行うためには、国土交通大臣に「貨物軽自動車運送事業経営届出書」及びその他の書類の届出が必要です。届出が受理されるには、事業計画の内容が適切であることが必要です。
 届出書の記載事項、事業計画記載事項の基準は以下の通りとなります。
【届出書の記載事項】
① 氏名・住所など
② 事業の開始予定日
③ 事業計画
● 主たる事業所の名称および位置
● 営業所の名称および位置
● 事業用自動車の種別と数
● 車庫の位置および収容能力
● 休憩・睡眠施設の位置および収容能力
④ 運送約款

【事業計画に対する受理基準】
① 営業所
● 適切なもの(自宅に営業所を設置することも可能)
② 自動車車庫
● 原則として営業所に併設(併設できない場合は、2km以内に確保)
● 計画車両数をすべて収容できること(1両あたり8㎡以上)
● 使用権原を有すること(使用権原を有する宣誓書が必要)
● 都市計画法等関係法令に抵触しないこと(宣誓書が必要)
③ 休憩施設
● 乗務員が有効に利用できる適切な施設であること
④ 事業用自動車の構造等
● 貨物軽自動車運送事業に供するものとして適切なもの
● 自動車(軽自動車、二輪自動車等)の種別ごとに数を記載
⑤ 運送約款
● 国土交通大臣が定めて公示した標準約款を使用する場合、届出書に
その旨を記載し、提出は不要
⑥ 管理体制
● 過労運転、過積載の防止、安全運行の確保等、適正な管理体制が整っていること
⑦ 運賃・料金
● 運賃・料金の設定、変更後、30日以内に届出が必要
  (貨物軽自動車運送事業経営届出書と同時提出も可能)
2.事業行動のルール
 貨物軽自動車運送事業においても、輸送の安全確保などの行動ルールについては、一般貨物自動車運送に準ずるルールが課せられています。
3.届出事項の変更
 貨物軽自動車運送事業においても、氏名、名称、住所、法人の場合は代表者氏名、その他営業所の名称及び位置など事業計画の内容を変更しようとするときは、事前の届出が必要です。
4.運賃・料金
 貨物軽自動車運送事業においても、一般貨物自動車運送事業と同様、運賃および料金の種類、額、適用方法を運賃設定・変更後30日以内に届け出ることになっています。これを変更するときにも、届出事項の変更手続をとることが必要となります。
5.報告書提出の義務
 貨物軽自動車運送事業は、一般貨物自動車運送事業などのように毎年「事業報告書」や「事業実績報告書」を提出する義務はありませんが、臨時の報告を求められた時には、様式に従って報告書を作成、提出しなければなりません。
6.安全確保のための対応
 輸送の安全確保に関しては、貨物軽自動車運送事業者であっても貨物自動車運送事業法、貨物自動車運送事業輸送安全規則によって、一般貨物自動車運送事業者とほぼ同様の責任が課せられていますが、乗務等の記録、運行管理者の選任の義務付けなど一部の項目については、対象から外されています。
7.輸送秩序維持
 貨物軽自動車運送事業においても、輸送の安全確保に支障をきたす法令に違反したときは、監査の実施や行政処分等の適用を受けますので、一般貨物自動車運送事業者等と変わるところはありません。
 また、荷主勧告制度についても、一般貨物自動車運送事業者と同様に適用されます。