交通政策基本計画 ①

この計画は、交通政策基本法(平成25年法律第92号)第15条
第8項の規定に基づき、国会に報告するものである。

はじめに

我が国は、人口急減や少子化、超高齢化、都市間競争の激化等のグローバリゼーションの進展、巨大災害の切迫、インフラの老朽化、地球環境問題、ICT の劇的な進歩等の技術革新の進展など、多様かつ重大な課題に直面している。これらの我が国が直面する課題に対し、交通の分野で政府を挙げて取り組むため、2013 年(平成 25 年)11 月 27 日に交通政策基本法が成立し、同年 12 月4日に公布・施行された(平成 25 年法律第 92 号)。
交通政策基本法では、交通に関する施策の基本理念を定め、国や地方公共団体、民間事業者、国民等の関係者の責務や役割を明らかにするとともに、我が国が今後、長期的な観点から取り組むべき交通政策について、例えば「日常生活等に必要な交通手段の確保」、「国際競争力の強化」、「大規模災害への対応」など、具体的な施策の方向性を明示している。また、同法は政府に対し、交通政策基本計画の閣議決定及び国会に対する同計画の報告を義務付けている。
本計画は、交通政策基本法が提示するこれらの交通政策の長期的な方向性を踏まえつつ、政府が今後講ずべき交通に関する施策について定めるものである。
本計画の構成は、交通に関する施策の「基本的方針」、計画期間内に目指すべき「目標」、目標の各々について取り組むべき「施策」の三層構造となっており、関係者の責務・役割や連携・協働等についても、施策の推進に当たって「留意すべき事項」として整理している。
本計画の計画期間は、2020 年東京オリンピック・パラリンピックの開催等を見据え、2014 年度(平成 26 年度)を初年度とし、2020 年度(平成 32 年度)までとする。
本計画に基づく施策の進捗状況については、適切にフォローアップを実施することとし、必要に応じ、本計画の改善検討を行う。なお、本計画による施策の推進に当たっては、「交通安全基本計画」等による交通の安全の確保に関する施策との十分な連携を確保するとともに、「国土形成計画」や「社会資本整備重点計画」、「観光立国実現に向けたアクション・プログラム」、「国土強靱化基本計画」、「まち・ひと・しごと創生総合戦略」とも連携・整合を図ることとする。特に、社会資本整備重点計画とは車の両輪として一体的に実行していくことが必要である。
人口急減、少子化、超高齢化という我が国が直面する大きな課題に対し、国内の地域間、国内と海外との間におけるヒト、モノ等の「対流」の促進により次世代へと豊かな暮らしをつないでいくことが極めて重要であり、従来の発想にとらわれず、国として全力で取り組んでいかなければならない。