総合物流施策大綱(2021 年度~2025 年度)⑰

(3)物流標準化の取組の加速
① モノ・データ・業務プロセス等の標準化の推進と社会課題としての発信
物流を構成する各種要素が標準化されることで、物流現場の作業が簡素化することはもちろん、自動化機器の導入による省人化が促され、人手不足の中でも物流の機能と高度なサービスの維持が可能となる。
標準化を進めるためには、物流に関わる全てのステークホルダーが、各種要素の非統一に起因して発生する物流現場の負担を明確に認識し、その改善に向け、ユニットロードや EDI の仕様などをはじめとして、モノ・データ・輸配送条件を含む業務プロセスの標準化に連携して取り組むことが必要である。
このため、物流標準化を真に効率的で持続可能な物流への転換のための社会全体の課題として捉え、その必要性を一般消費者含め広く、強く発信していく。
② 加工食品分野における標準化・商慣習改革のための推進体制の整備と周辺分野への展開
加工食品分野においては、2020 年3月、官民連携の協議会が物流標準化のアクションプランを策定し、納品伝票、外装表示、パレット・外装サイズ、コード体系・物流用語の4項目における標準化の必要性を確認するとともに、推進の方向性を取りまとめたところである。現在、このアクションプランの実現に向けて、伝票の標準化・電子化の動きや、外装サイズ標準化のためのガイドライン策定を目指す民間主体の協議会の開催等の取組が進んでいる。これらの取組がサプライチェーン全体の動きに発展し、物流標準化推進の一つのプロトタイプとなるよう、引き続き官民連携して不断に推進していく。
この物流標準化の推進に際しては、附帯作業や荷待ち時間の削減、リードタイムの延長、環境負荷要因ともなる荷受け時の過度な外装不良基準の緩和等の商慣習についても一体的に解消し、標準化による効果が物流の現場に帰することを目指して、川上から川下までの幅広い関係者と行政が参画する体制を構築する。
加工食品分野での標準化をフォローアップする過程では、取り扱う製品・商品の特性や商慣習が近い他の業種分野に向けてもこの動きを周知し、取組の横展開や連携を図る。
③ 業種分野ごとの物流の標準化の推進
物流業界においては既に個社や一部業界内で標準化の取組も行われているが、業種分野によって危機感や進捗状況は大きく異なる。特に、国民生活の安定と我が国のレジリエンス強化の観点から、加工食品を始め、日常生活や健康・安全に直接に関係する物資に係る物流に関しては、標準化を含む物流課題の明確化と、関係者間での連携による認識の共有と解決に向けた対話を促進する。その際、物量の波動対応や重量物の手荷役作業といった物流の担い手の大きな負担となって
いる作業の軽減など、業種分野ごとに存在する個別の課題についても取り扱う。
④ 国際化やデジタル化を視野に入れた標準化の推進
物流標準化の推進に際しては、物流の国際化やデジタル化の動きを踏まえて取り組むことが必要である。例えば、事業所コードや EDI 標準等については、GS1 や UN/CEFACT の規格が国際的な標準として機能していることも踏まえた取組を推進する。パレットの規格については、将来的な国際一貫パレチゼーションの実現に向け、国内外の状況を注視しつつ、中・長期的な取組の方向について関係者の合意形成を図る。