総合物流施策大綱(2021 年度~2025 年度)㉑
(1)トラックドライバーの時間外労働の上限規制を遵守するために必要な労働環境の整備
① 荷主との取引環境改善に向けた取組
トラック運送業における輸送効率・生産性の向上は急務である一方、これをトラック運送業だけで達成することは困難であり、荷主の理解と協力が不可欠である。多くの運行で、依然として荷主都合による長時間の荷待ち、契約にない附帯作業などが発生しており、これらの時間を減らすことができれば、トラックドライバーが運送に専念できる時間を確保でき、今後の物流の持続可能性は高まる。
国としては、2018 年5月に決定した「自動車運送事業の働き方改革の実現に向けた政府行動計画」に基づき取組を強力に推進していくこととしており、例えば、特に荷待ち件数が多い、加工食品、建設資材、紙・パルプといった輸送品目別に、令和2年5月に取りまとめたガイドラインを活用しながら、サプライチェーン全体でリードタイムの延長や最低納品単位の取り決めなど商慣習の見直しを進めるとともに、長時間労働の原因となっている検品作業や荷役の分離の推進などに取り組み、更なる改善に向け荷主との交渉や働きかけを進めていく。
着荷主を含めた荷主は、これらの取組を進めなければ、時間外労働の上限規制がトラックドライバーに適用された後、将来的に荷物が運ばれなくなるおそれがあることを認識する必要があり、標準的な運賃の浸透や「ホワイト物流」推進運動の推進など、トラック運送業と荷主が継続して取引環境等の改善を進める環境を整備する。