総合物流施策大綱(2021 年度~2025 年度)㉒
② 賃金水準の確保や働き方改革など魅力的な労働環境の整備に向けた取組
トラックドライバーに 2024 年度から時間外労働の上限規制が適用されること等を踏まえ、トラックドライバーの不足により物流が滞ってしまうことのないよう、緊急に運転者の労働条件を改善する必要があること等に鑑み、2018 年 12 月に成立した貨物自動車運送事業法の一部を改正する法律(平成 30 年法律第 96 号)に基づき、以下の「(ⅰ)規制の適正化」、「(ⅱ)荷主対策の深度化」、「(ⅲ)標準的な運賃の告示制度の導入」などの所要の措置を講じ、また、自動車運転者の多様な勤務実態や業務の特性を踏まえた改善基準告示の見直しを検討する等、引き続きトラック運送業の魅力的な労働環境の整備に向けた取組を推進する。
(ⅰ)規制の適正化:
欠格期間の延長等により不適正な事業者の参入制限等を図るなどの環境整備に取り組み、コンプライアンスを確保しながら真摯に努力する事業者が報われる適正な競争環境を実現する。
(ⅱ)荷主対策の深度化:
関係省庁が連携し、違反原因行為をしている疑いのある荷主に対してトラック運送事業者のコンプライアンス確保には荷主の配慮が重要であることについて理解を求めるための働きかけを実施する。
(ⅲ)標準的な運賃の告示制度の導入:
標準的な運賃の浸透を図り、荷主に対して交渉力の弱いトラック事業者が、燃料費、人件費、車両や設備の更新などの必要なコストに見合った対価を収受できていない状況を改善させる。特に、トラック運送事業者が収受する運賃を上昇させることができれば、トラックドライバーが全産業平均並みの給与を得られる環境となり、ひいてはトラック運送業がより魅力ある労働環境となり、ドライバーの確保・育成に資することとなる。荷主は、2024 年度からのトラックドライバーへの時間外労働の上限規制の適用で自身の物流が途絶してしまう危機に対して、トラックドライバーの労働条件が改善されることが、この危機への対応策であることを強く認識することが必要である。今後、標準的な運賃を発着荷主含めて周知・浸透を図り、荷主もこの制度の趣旨・目的を理解することで、トラック事業者の運賃収受状況の改善と担い手不足解消に取り組む。加えて、データプラットフォーマー支援による求貨求車マッチングサービスの提供機会の拡大等を通じ、中小トラック運送事業者に直接運送委託する機会を増加させるとともに、「トラック運送業における下請・荷主適正取引推進ガイドライン」を活用した周知などを通じて、下請のトラック運送事業者が適正な取引を行うことが出来るよう取り組む。
