総合物流施策大綱(2021 年度~2025 年度)㉔
(2)内航海運の安定的輸送の確保に向けた取組
① 内航海運を支える船員の確保・育成及び船員の働き方改革の推進
エッセンシャルワーカーである船員の安定的な確保・育成のため、若年の優秀な船員の確保・育成策に引き続き取り組むとともに、船員の働き方改革の実現に向けて、使用者が船員の労働時間等を把握し、船員の状況に応じて適切な対応を図る仕組みの整備等により、船員の労働環境の改善に向けた取組を実施する。また、日本人船員の主要な供給源である独立行政法人海技教育機構において、関係教育機関や関係団体等との連携のもと、質が高く、事業者ニーズにマッチした船員の養成に取り組み、教育内容の高度化を図る。
② 内航海運暫定措置事業の終了も踏まえた荷主等との取引環境の改善
内航海運暫定措置事業の終了により、長らく続いた船舶建造における諸制限がなくなることで、代替建造の促進や事業者間の競争の促進等の活性化が期待される。その一方で、内航船のオーナーは旧来の船舶売却時の収益に頼らない、日々の用船料収入でビジネスを成立させる「稼げる内航海運」への変革が必要である。このため、契約の適正化など荷主やオペレーターとの取引環境の改善に向け、船員の労働時間を考慮した運航スケジュールの設定や荷主の協力を担保する仕組みの整備等により、適正な運賃・用船料が収受でき、持続可能な事業運営が実現できる環境整備を行う。
③ 内航海運の運航・経営効率化、新技術の活用等の内航海運の生産性向上
新技術の導入促進や海上の通信環境の改善に向けた検討を進めることにより、船員の労働環境の改善や運航の効率化を図るとともに、船舶管理業への制度上の位置づけの付与など、事業基盤の強化のため最適な事業形態を安心して選択できる環境整備を図る。また、複数荷主が協力した共同輸送やフェリー・RORO 船、コンテナ船等の大型船を活用した総合物流を実現するため、船舶大型化等に対応した港湾整備や情報通信技術、自動化技術の活用を推進するとともに、他の輸送モードとの連携を図り、総合的な物流システムの効率化を推進する。