総合物流施策大綱(2021 年度~2025 年度)㉚

② 大規模災害時の物資輸送の円滑化
災害発生時に支援物資の輸送や物流施設における仕分けが必要となることを踏まえ、地方自治体と物流事業者間における協定をより高度化するため、物流専門家派遣協定の締結を促進するとともに、支援物資の広域的な受入れ拠点としての活用を想定する民間物資拠点のリストを拡充し、大規模災害発生時の支援物資物流について輸送の全体最適化を行い、ラストマイルの着実な輸送も含めた避難所への支援物資物流の円滑化に向けた取組を行う。
また、大規模な自然災害が発生した際の復旧・復興拠点として機能するみなとオアシス防災ネットワークの構築など港湾の防災機能や基幹的広域防災拠点の運用体制の強化を図るとともに、複合災害等が発生した場合であっても、物流網のリダンダンシーを確保する基幹的海上交通ネットワークを可能な限り維持するため、港湾 BCP の充実化による物資輸送体制の確保等の環境整備に努め、サプライチェーンへの影響を最小限に抑制する。
さらに、災害発生直後から緊急物資輸送等を支援するため、ETC2.0 装着車の通行実績データ等を活用して作成した通れるマップを即時情報提供するとともに、道の駅や SA・PA も復旧・復興活動拠点として活用する。
加えて、大規模災害発生後に鉄道の迂回輸送及びトラック代行等を迅速かつ円滑に促進することとし、特にトラック代行へ迅速かつ円滑に移行するため、地方公共団体と協力し、主要貨物駅周辺で利用可能な用地を確保する等、必要な体制を構築する。
また、空港は、緊急物資等の輸送拠点となることから、自然災害発生後、できるだけ速やかに機能を確保するため、空港全体としての機能保持及び早期復旧に向けた目標時間や関係機関の役割分担等を明確化した空港における事業継続計画「A2-BCP」に基づき、空港関係者やアクセス事業者等と連携し、自然災害時の対応を行うとともに、訓練の実施等による事業継続計画の実効性の強化に努める。さらに、主要空港が被災した場合においても代替輸送が的確に実施されるよう、物流関係者間の連絡調整体制の構築に向けて取り組む。
<データ連携・システム活用による支援物資輸送の円滑化>
物資拠点や避難所までの物資の供給ステータス情報を把握の上、一体的に管理・情報共有するため、国・都道府県・市区町村との間で、都道府県や市区町村の物資拠点や避難所の物資情報(ニーズ、調達、輸送状況等)を共有できる物資調達・輸送調整等支援システムの運用を 2020 年度より開始しており、当該システムを活用した円滑な支援物資物流を実現する。さらに、陸海空の輸送モードが連携した物資輸送シミュレータをクラウドに実装することで、時々刻々と変わる物資需要量・インフラ復旧状況等のビッグデータを基にした最適な輸送ルートを提案・情報共有できる「緊急支援物資輸送プラットフォーム」を構築するとともに、官民が連携し、物資輸送に係る訓練・演習を継続的に行うことで、緊急支援物資を確実に被災地域まで輸送する実効性のある体制を確立する。