総合物流施策大綱(2021 年度~2025 年度)⑤
Ⅱ.物流を取り巻く現状・課題と今後の物流施策の方向性
(1)前大綱策定以後の物流を取り巻く環境の変化
2)災害の激甚化・頻発化により露呈した物流ネットワークの脆弱性
近年激甚化・頻発化する自然災害により、鉄道路線の長期不通や空港の長期機能停止など、国民生活や経済活動の基盤である物流ネットワークの脆弱性を露呈する事象が多発している。
例えば、2018 年7月の西日本豪雨により、東日本から九州を結ぶ我が国物流の大動脈たる山陽本線が寸断され、自動車部品や農産品など多岐に渡る製品・商品の物流に支障が生じ、その影響は全国に及んだ。また、同年9月の台風 21 号により、関西国際空港において貨物地区の浸水などの被害が発生し、国際航空貨物輸送などへの影響が生じた。
また、災害により発生する大量のがれき等の運搬・処理も課題として認識されている。
災害による被害を極小化し、また、可能な限り早期の復旧を図るため、インフラの強靱化や各輸送モードの安全対策の強化により、平時から災害や危機に強い物流ネットワークを構築することが重要である。さらに、物流機能の持続性を確保するため、発災時の代替輸送機関としての内航フェリーや RORO 船、内航コンテナ船の活用などを内容とする BCP(事業継続計画)の充実や、関係機関間での日頃の各種調整や訓練の徹底など、平時から連携体制を確保することが求められる。