総合物流施策大綱(2021 年度~2025 年度)⑨
(2)前大綱において講じた主な施策
②見える:物流の透明化・効率化とそれを通じた働き方改革の実現
トラック事業者の取引条件の改善や働き方改革のため、2017 年8月の標準貨物運送約款の改正により運賃の範囲等の明確化が図られたほか、2018 年に改正された貨物自動車運送事業法に基づき 2020 年4月に標準的な運賃が告示され、浸透が図られている。また、荷主も含めたサプライチェーン全体での効率化を目指した「ホワイト物流」推進運動が 2018 年 12月から展開されている。
BtoC 物流に関しては再配達削減が重要な課題となっており、2018 年5月から宅配事業者・EC 事業者・行政からなる「宅配事業と EC 事業の生産性向上連絡会」が開催され、宅配事業者と EC 事業者とのデータ連携の推進や多様な受取方法の推進などの対応の方向性が整理されたほか、同年11 月には各社の取組事例集が公表された。また、2020 年3月には「置き配」を実施するに当たっての課題や対応策をまとめた「置き配の現状と実現に向けたポイント」がとりまとめられた。
③支える:ストック効果発現等のインフラの機能強化による効率的な物流の実現
三大都市圏環状道路等を中心とする根幹的な交通ネットワークの整備が推進され、三大都市圏環状道路整備率は 2020 年度に 83%に達するなど、着実に進捗している。
また、国際コンテナ戦略港湾政策が推進され、欧州基幹航路の拡大や北米基幹航路の維持が図られている。
④備える:災害等のリスク・地球環境問題に対応するサステイナブルな物流の構築
激甚化・頻発化する自然災害への備えとして、災害時の官民協力協定の促進や、民間物資拠点や災害耐性に優れた特定流通業務施設のリスト化など、緊急支援物資物流の円滑な実施に向けた取組が推進されてきた。民間事業者における BCP の策定も推進されてきたが、BCP 策定割合は大企業で 68%、中堅企業で 50%であり、より一層の取組が求められる状況となっている。
また、地球環境問題への対応としては、改正物流総合効率化法に基づき、モーダルシフトや輸配送網の共同化など、環境負荷の低減に資する取組が推進されてきたところであり、2016 年 10 月から 2021 年3月末までの間に、モーダルシフトは 90 件、共同輸配送は 21 件が認定されている。こうした取組もあり、運輸部門におけるエネルギー起源 CO2の排出量は、2019 年度で 206 百万 t と、2015 年度比で 11 百万 t の減少となっている。