総合物流施策大綱(2021 年度~2025 年度)⑧

(2)前大綱において講じた主な施策
前大綱は、物流の大幅な生産性向上を図ることによって効率的・持続的・安定的に機能を発揮する「強い物流」の構築を図ることを目標にしてきた。そのために、「繋がる」、「見える」、「支える」、「備える」、「革命的に変化する」、「育てる」という6つの視点から、主に以下のような施策が推進されてきたところである。


①繋がる:サプライチェーン全体の効率化・価値創造に資するとともにそれ自体が高い付加価値を生み出す物流への変革
2016 年に改正された「流通業務の総合化及び効率化の促進に関する法律」に基づき、二者以上の連携・協働によるモーダルシフトや共同輸配送等の取組に対する支援が行われ、同法に基づく取組の認定件数は 2016 年 10 月から 2021 年3月末までの間に 255 件に上っている。
こうした取組の効果もあり、モーダルシフトに関しては、海運によるモーダルシフト貨物の輸送量が 2019 年度で 358 億トンキロ(2015 年度比 18 億トンキロ増)に達するなど、一定の成果が上がっている。一方、鉄道によるモーダルシフト貨物の輸送量は、大規模災害による輸送障害等の影響もあり、2019 年度で 184 億トンキロと、2016 年度の 197 億トンキロから減少している。
また、2018 年度から戦略的イノベーション創造プログラム事業(SIP)「スマート物流サービス」プロジェクトにより、物流・商流データ基盤の構築に向けた取組が進められている。加えて、物流のデジタル化の前提にもなる物流標準化に向けては、取組が先行している加工食品分野において、2020 年3月に「加工食品分野における物流標準化アクションプラン」が策定され、その実現に向けた具体的な取組が進められている。
国際物流に関しては、外国政府との対話等を通じてサプライチェーンのシームレス化の推進や我が国物流企業の海外展開支援が行われてきたほか、日本の質の高いコールドチェーン物流サービスの国際標準化に向けた取組が進められてきた。こうした取組もあり、アジアにおける我が国物流事業者の海外倉庫の延床面積は、2020 年度が 2017 年度比で 20.6%増となっているほか、2020年5月には日本の主導により小口保冷配送サービスに関する国際規格(ISO23412)が、6月には事業者間におけるコールドチェーン物流サービスに関する規格(JSA-S1004)が、それぞれ発行に至っている。
また、我が国のグローバルサプライチェーンの深化を図るため、海上輸送・航空輸送に続く第三の輸送手段として、シベリア鉄道の利用促進に向けた実証事業も 2018年度から開始されている。