交通政策基本計画㉓
目標① 大規模災害や老朽化への備えを万全なものとする
(趣旨)
東日本大震災の経験を踏まえ、首都直下地震、南海トラフ地震、集中豪雨等の大規模災害に向けた対策を、「国土強靱化基本計画」を基本として他の関連する計画等とも連携し、すみやかに実施する。
また、持続可能な輸送サービスを確保する観点から、インフラに加えて車両等の老朽化についても対応する。
(施策)
<これまでの取組を更に推進していくもの>
(1)社会資本全体を通じた大規模災害対策、老朽化対策に遅滞なく取り組む。
○鉄道、道路、港湾、空港等の交通インフラの耐震対策、津波対策、浸水対策、土砂災害対策等を確実に実施する。
○災害発生時における混乱を最小限に抑える観点から、停電による信号機の機能停止を防止する信号機電源付加装置の整備を推進するとともに、交通量等が一定の条件を満たす場合において安全かつ円滑な道路交通を確保できる環状交差点の活用を図る。
○道路の防災性の向上、安全で快適な通行空間の確保、良好な景観の形成や観光振興等の観点から、無電柱化を推進する。
○「インフラ長寿命化基本計画」に基づく行動計画及び個別施設計画を策定するとともに、道路・港湾施設等の長寿命化対策の実施、鉄道施設の長寿命化に資する改良への支援等により、交通インフラの戦略的な維持管理・更新や老朽化対策を推進する。
○地震発生時に列車を安全に止めるための対策(新幹線においては更に脱線・逸脱の防止)を実施する。
○開業 50 年が経過した東海道新幹線をはじめとして、新幹線の大規模改修への対応を推進する。
○災害時に被災地の支援を国全体で可及的速やかに実施するため、代替ルートを確保するとともに、輸送モード間の連携を促進する。
○迅速な輸送経路啓開等の輸送手段確保や円滑な支援物資輸送に向けて、関係機関の連携等により装備資機材の充実、燃料の確保、訓練の実施、情報収集・行すべきことが指定されているもの 国や地方公共団体、その他民間企業等が管理するあらゆるインフラを対象に、戦略的な維持管理・更新等を推進するための計画
○鉄道、バス、旅客船ターミナル、空港等において、災害発生時に利用客を混乱なく避難誘導できるよう、適切な情報発信等の対策を行うとともに、災害発生時に船舶やバス車両等を効率的・効果的に避難や緊急輸送に活用するため、活用可能な船舶・車両の確保等について、枠組みの構築を進める。
○主要駅周辺等における帰宅困難者・避難者等の安全を確保するための取組について、自治体や民間企業が連携し、協力体制を構築するための支援を行う。
○港湾等において、災害発生時に船舶を混乱なく避難誘導するとともに、発災後の輸送経路啓開区域の明示による緊急輸送船舶の航行支援など適切な情報発信等を行う。
○自然災害による陸上、海上及び航空交通の被害の軽減に資するよう、観測・監視の強化や予測精度の向上を図り、防災気象情報の改善や適時・的確な提供を推進する。
○近隣に避難場所がない地域における津波対策として、「津波救命艇」の普及を図る。
○災害時においても我が国の社会経済活動ができる限り維持されるよう、代替ルートを確保するとともに、輸送モード間の連携を促進する。
○災害発生時において、電源確保、バックアップ機能の強化等により、災害に強い交通関係情報システムを構築する。
○サプライチェーン維持に資する災害に強い物流システムの実現のため、広域的な観点による多様な輸送手段の活用や、物流事業者の事業継続体制の構築を官民連携で推進する。
<取組内容を今後新たに検討するもの>
○厳しい経営状況にある地方の交通関連事業者による老朽化車両・船舶の更新
への新たな支援策等を検討する。
○交通インフラの維持管理と交通以外のインフラの維持管理との連携強化につ
いて検討する。