安全確保のためにトラック運送事業者が守るべき事項(抜粋)
① 事業用自動車(被けん引車を除く)が200両以上の場合は安全管理規程の届出と安全統括管理者の選任
(詳細略)
② 事業規模や国から指定された事業者は、輸送の安全にかかわる情報の公表
③ 過労運転の防止
●必要な員数の事業用自動車の運転者
●運転者の休憩・睡眠施設の整備
●運転者の適切な勤務時間及び乗務時間の設定
● 酒気を帯びた状態にある乗務員を事業用自動車に乗務させない
飲酒運転に対する厳しい処分はドライバーだけでなく会社にも及びます。そのため、「酒気を帯びた状態」とは、道路交通法施行令(昭和35年政令第270号)第44条の3に規定する血液中のアルコール濃度0.3mg/mℓ又は呼気中のアルコール濃度0.15mg/ℓ以上であるか否かを問わないものとされています。
すなわち、血液中のアルコール濃度と呼気中のアルコール濃度がいずれも0mg/ℓでなければなりません。
● 乗務員の健康状態の把握に努め、疾病、疲労、睡眠不足、その他の理由により安全な運転をし、又はその補助をすることができないおそれがある乗務員を事業用自動車に乗務させない
● 運転者が長距離運転又は夜間の運転に従事する場合であって、疲労等により安全な運転を継続することができないおそれがあるときは、あらかじめ、当該運転者と交替するための運転者を配置
●特積みについて定めた基準の遵守など
運行系統の中に複数の道順がある場合には、利用頻度の高いものを対象として乗務基準を定めます。
④ 事業用自動車の点検整備、点検及び清掃のための施設
点検整備は、事業用自動車の運行の安全の確保のため、車両の管理が必要です。そのため、道路運送車両法に係るもののほか、次の事項を遵守するよう定められています。
●自動車の構造・装置や使用状況に応じた点検・整備の実施
● 点検・整備に関する記録を道路運送車両法第49条に準じて保存すること。 点検・整備の記録簿は1年間の保存が義務づけられています。
⑤ 整備管理者の研修
(詳細略)
⑥ 過積載の防止
過積載が発生する原因は、事業者に起因するもの、運転者に起因するもの(請負制になっており、運転者が自らの判断で積載量を超えて運んでしまう場合など)、荷主に起因するものなどがありますが、事業者が過積載となる運送の計画作成、過積載の指示を行わないことはもちろんのこと、過積載による運送の防止について、運転者その他の従業員に対する適切な指導及び監督を怠ってはならないとされています。
また、過積載の防止に対しても、「荷主(発着荷主、元請業者も含む)の配慮義務」があり、一般貨物自動車運送事業者の過積載に係る法令違反が主に荷主からの強要・依頼等に起因すると認められた場合には、荷主に対して勧告が行われ、荷主名が公表されることが法律に定められています。
⑦ 貨物の積載方法
(詳細略)
⑧ 通行の禁止又は制限等違反の防止
(詳細略)
⑨ 自動車車庫の確保
事業者は、事業用自動車の保管の用に供する自動車車庫を営業所に併設しなければなりません。
ただし、自動車車庫を営業所に併設して設けることが困難な場合は、当該自動車車庫を当該営業所から自動車の保管場所の確保等に関する法律施行令の第1条第1号に規定する距離を超えない範囲で設けることができます。その他、「自動車車庫」の具体的な基準は、地方運輸局による公示によります。
⑩ 点呼等
一般貨物自動車運送事業者は、乗務の開始前の運転者に対して、運行上やむを得ない場合を除き、対面での点呼を実施し、(1)酒気帯びの有無、(2)疾病、疲労、睡眠不足その他の理由により安全な運転をすることができないおそれの有無、(3)日常点検の実施と結果について報告を求め、確認を行い、運行の安全を確保するために必要な指示をしなければなりません。
乗務終了後には、(1)道路及び運行の状況、(2)他の運転者と交代した際の通告、(3)酒気帯びの有無の各項目についてについて報告を求め、確認を行い、運行の安全を確保するために必要な指示をしなければなりません。
また、点呼は営業所において行うことが原則ですが、営業所と車庫が離れている場合等、必要に応じて運行管理者又は補助者を車庫へ派遣して点呼を行う等、対面点呼を確実に実施するようにします。
輸送の安全の確保に関する取組が優良であると認められる営業所(いわゆる「Gマーク営業所」)においては、対面による点呼と同等の効果を有するものとして国土交通大臣が定めた機器による点呼(「IT点呼」)を行うことができるとされています。
⑪ 乗務等の記録
事業者は、事業用自動車に係る運転者の乗務について、当該乗務を行った運転者ごとに次に掲げる事項を記録させ、かつ、その記録を1年間保存しなければなりません。なお、国で型式認定を受けた運行記録計に必要事項を記載することで乗務等の記録に代えることができます。
なお、乗務等の記録・保存については、書面による記録・保存に代えて電磁的方法による記録・保存を行うことができます。
⑫ 運行記録計による記録
次の事業用自動車に乗務する場合には、運行中の瞬間速度、運行距離及び運行時間を運行記録計により記録し、かつ、その記録を1年間保存しなければなりません。なお、運行記録計による記録・保存については、書面による記録・保存に代えて電磁的方法による記録・保存を行うことができます。
1 車両総重量が7トン以上又は最大積載量が4トン以上の普通自動車である事業用自動車
2 上記1の事業用自動車に該当する被けん引自動車をけん引するけん引自動車である事業用自動車
3 上記1.2に掲げる事業用自動車のほか、特別積合せ貨物運送に係る運行系統に配置する事業用自動車
⑬ 事故の記録
事業用自動車に係る事故が発生した場合には、発生後30日以内に、次に掲げる事項を記録し、その記録を当該事業用自動車の運行を管理する営業所において3年間保存しなければなりません。
1 乗務員の氏名
2 事業用自動車の自動車登録番号その他の当該事業用自動車を識別できる表示
3 事故の発生日時
4 事故の発生場所
5 事故の当事者(乗務員を除く。)の氏名
6 事故の概要(損害の程度を含む。)
7 事故の原因
8 再発防止対策
⑭ 運行指示書による指示等
指示書の内容
1 運行の開始及び終了の地点及び日時
2 乗務員の氏名
3 運行の経路並びに主な経過地における発車及び到着の日時
4 運行に際して注意を要する箇所の位置
5 乗務員の休憩地点及び休憩時間(休憩がある場合に限る。)
6 乗務員の運転又は業務の交替の地点(運転又は業務の交替がある場合に限る。)
7 その他運行の安全を確保するために必要な事項
なお、運行指示書の作成・保存については、書面の作成・保存に代えて運行指示書に係る電磁的記録の作成・保存を行うことができます。
⑯ 運転者台帳
運転者ごとに一定の様式の運転者台帳を作成し、これを当該運転者の属する営業所に備えて置かなければなりません。運転者台帳に記載する事項は、下記のとおりです。
また、運転者が転任、退職その他の理由により運転者でなくなった場合には、直ちに、当該運転者に係る運転者台帳に運転者でなくなった年月日及び理由を記載し、これを3年間保存しなければなりません。
1 作成番号及び作成年月日
2 事業者の氏名又は名称
3 運転者の氏名、生年月日及び住所
4 雇入れの年月日及び運転者に選任された年月日
5道路交通法に規定する運転免許に関する次の事項
イ. 運転免許証の番号及び有効期限
ロ. 運転免許の年月日及び種類
ハ. 運転免許に条件が付されている場合は、当該条件
6 事故を引き起こした場合又は道路交通法第百八条の三十四の規定による通知を受けた場合は、その概要
7 運転者の健康状態
8 輸送安全規則第10条第2項の規定に基づく指導の実施及び適性診断の受診の状況
9 運転者台帳の作成前6月以内に撮影した単独、上三分身、無帽、正面、無背景の写真(運転者台帳に貼付する)
⑰ 従業員に対する指導及び監督
(詳細略)
⑱ 異常気象時等における措置
(詳細略)
⑲ 安全の確保のための服務規律
(詳細略)