棚卸

①棚卸の意義
企業にとって在庫は棚卸資産として貸借対象法の資産の部に記載されます。したがって、システム上の在庫量と現品に差異があるといううことは棚卸資産の部の金額が間違っていることになります。これは、企業の業績報告に虚偽記載があることになり遵法上の問題となります。
在庫情報と現品をつき合わせる作業を実地棚卸といいます。


②棚卸差異の主な原因
・入庫管理上の原因
入庫した時の品目と数量のチェックが原因となることがある。
品目コードや数量を間違えた情報登録が、情報と現品の差異(情物不一致)を生じさせます。
単純な人的ミスを防止するためには、バーコードやRFIDを活用することが望ましいです。


・保管管理上の問題
保管中の破損や盗難で現品が減ることがあります。保管環境やセキュリティへの配慮が必要です。
保管ロケーションを間違えたり、仮置き場所を登録していなかったりすると、棚卸のときに見つからないことがあります。


・出庫管理上の原因
誤品の出荷、数量の間違いが棚卸差異の原因となります。
バーコード検品やRFIDを活用しましょう。


・情報管理上の原因
入庫伝票と現品に差異を発見したのもかかわらず、情報のインプットミスやインプット漏れが発生すると当然棚卸差異発生の原因となります。


・棚卸作業場の原因
棚卸作業のミスで差異を生じることもあります。
数量・品番の間違いや現品が見つからないといったことが差異発生の原因となります。


③棚卸差異の是正
棚卸差異があった場合、原則として現品に合わせて情報を是正します。


④実地棚卸の方法
・一斉棚卸
一斉棚卸とは、全品目を対象に一斉に棚卸を行うことです。
全品目の入庫と出庫を止めて行いますので全品目の精度は高くなりますが、サービスの低下となります。
多くの手間と時間が必要で、経費がかかります。そのため、決算に合わせて期末に行われるのが一般的です。


・循環棚卸
循環棚卸とは、在庫品目をいくつかに分割し、時期を分けて小刻みに棚卸を行うことです。
1回の棚卸作業範囲が小さく、手間も比較的かからず、作業時間は短いです。
倉庫作業がないときにやれる範囲で棚卸をしていくという方法もあります。