総合物流施策大綱(2021 年度~2025 年度)⑮

(1)物流デジタル化の強力な推進
① 手続書面の電子化の徹底
現状、書面(FAX)や電話等で行われている民間事業者間の貿易手続や貨物集荷等の手続について、徹底したペーパーレス化を進め、書面手続ゼロはもとより、データ連携基盤の構築等によりマニュアルでの再入力作業をなくすことを目指す。その際、データ入力等デジタル手法のみで各種手続を一貫して処理できるシステムや、入力されたデータについて、連携基盤を介して手続に関係する者が共有できるシステムの導入を促進するとともに、そうしたシステムの導入に当たっては、大手だけではなく中小の物流事業者や荷主等も活用できるように、出来るだけ汎用化された簡素なシステムの導入を検討する。
また、特に現状、紙、電話、メール等で行われている民間事業者間の港湾物流手続を電子化する「サイバーポート11」の取組を推進し、業務を効率化し、港湾物流全体の生産性向上を図る。さらに、航空物流においても、e-freight の実現に向けて必要な取組について関係事業者等と連携し検討する。
② サプライチェーン全体の最適化を見据えたデジタル化
物流効率化を図る上では、発荷主と物流事業者間だけなど、一部の関係者のみがデジタル手法により手続を処理しても不十分である。川上から川下まで物流に関わるステークホルダーが一貫してシステムを活用できるようなデータ基盤の整備を目指すほか、発荷主・物流事業者・着荷等複数の事業者の連携によるシステムの共有及び各種センサー、RFID 等で収集・共有したデータの活用を推進するなど、サプライチェーンの全体最適を見据えたデジタル環境の整備を図る。
③ デジタル化を前提とした規制緩和や手続の特例の検討
デジタル化の推進により、特殊車両が即時にウェブ上で確認した通行可能経路を通行できる新たな通行制度により、特殊車両の通行手続の迅速化を図るほか、事業用自動車の運転者に対して乗務の前後に実施する点呼について、AI 等を搭載した点呼機器の認定制度を構築し、認定を受けた機器を使用した場合は、非対面の点呼が行えるようにするなど、デジタル化に資する取組について規制緩和や手続の特例を検討する。