総合物流施策大綱(2021 年度~2025 年度)㉗

(6)新たな労働力の確保に向けた対策
女性や若者、高齢者等の多様な人材の確保・育成が図られるよう、働き方改革を推進し、多様な人材が活躍できる職場環境を整備する。
トラック運送業については、荷主とトラック事業者による取引環境の改善の協議等を通じて労働条件を改善するほか、荷役分離を推進し、女性ドライバー等が働きやすい環境整備を促進する。さらに、「自動車運送事業の働き方改革の実現に向けた政府行動計画」に基づき、日帰り勤務を可能にする中継輸送の普及や、力仕事に頼らない機械荷役への転換を推進する。また、船員について、多様な人材にとって働きやすい職場づくりのため、多様な働き方への意識改革のほか、求人票の様式の改訂等を通じた事業者の取組の見える化、表彰制度等を通じた優良事例の横展開など、行政や業界における必要な環境の整備を図る。さらに、物流業界においては、既に庫内作業等の一部をアルバイトとして採用された留学生などの外国人が担っているが、物流業界におけるダイバーシティの確保等の観点も踏まえ、トラックドライバー等への外国人の活用についても今後議論を進めていくほか、空港における航空貨物取扱業務への特定技能外国人の活用について推進する。
こうした多様な人材の確保・育成に当たっては、経験やスキル等を重視した労働慣行だけに頼らない業務のあり方の検討も重要であり、物流 DX の推進により、AI や IoT 等新技術を活用することで、オペレーションの定型化や標準化を進める。


(7)物流に関する広報の強化
物流改革を進め、持続可能な物流を確保するためには、経営層が物流を経営戦略の一つに位置付け、物流重視の姿勢を示していくことが重要である。また、物流を、物流事業者だけではなく、社会全体の共通認識として位置づけるため、メディアや一般消費者、経営層に対し、物流の危機の現状や物流事業に従事する労働者の社会的価値、2024 年度から適用されるトラックドライバーの時間外労働の上限規制、「将来モノが運べなくなる」というリスクについて、広く認識や課題の共有、解決方策について理解の浸透を図り、持続可能な物流の確保の重要性について社会の共通認識を高めるための広報活動を強化する。